熱海の湧き出る7つの源泉散歩

湯治の地として発展してきた熱海には、町中に温泉の歴史を今に伝える名所が点在しています。その中でもおすすめは、温泉が湧き出る源泉スポット。入浴はできないものの、徒歩20分くらいの範囲にあるため散策しながら気軽に見て回れます。

湯前神社 (ゆぜんじんじゃ)

「大湯間歇泉」のすぐ近くには「湯前神社」があります。神、小童に託して曰く、諸人此なる温泉に浴せば諸病悉く治癒せんと因って里人祠をたて少彦名神を祀る」とあり「病を除く効果がある温泉がある」と神様からお告げがあり、祠を立てて神を祀ったという由来を持つ神社で、熱海の湯を守っています。

湯前神社にお参りしてから七湯巡りをスタートするのがおすすめです。

大湯間歇泉(おおゆかんけつせん)

海七湯を代表する源泉「大湯間歇泉」は「熱海ニューフジヤホテル アネックス」の脇道にあります。

昔は、地震が起きたと錯覚するほどの激しい揺れを伴いながら湯と蒸気を噴出していたと言われていますが、近年、徐々に噴出は弱くなり、現在は熱海市指定文化財として整備・保存され、人工的に湯を噴出させる仕組みになっています。4分に1回ほどのペースで激しく湯が噴出する様子から、昔の面影を感じることができます.

佐治郎の湯 (さじろうのゆ)

昭和の風情が残る遊技場や商店、喫茶店が並ぶ「銀座商店街」の中にあるのが「佐治郎の湯」です。


佐治郎という人物の邸宅内にあったことからこの名が付きましたが、明治時代には「新かど旅館」という旅館が所有していたため、「新かどの湯」とも呼ばれていました。
眼病に対する効能があると言われていたため、別名「目の湯」としても親しまれてきました。時代によって呼び名が変わって源泉です。

河原湯

夏は多くの海水浴客が訪れる熱海を代表する海岸「サンビーチ」のすぐ近くにあるのが「河原湯」です。

古くはこの一帯、東浜と呼ばれた河原で、村人たちが自由に入浴できる唯一の入浴場として愛されていました。浴室の屋根が「瓦葺き」だったことから、「瓦湯」と呼ばれています。「河原湯」は、七湯巡りの中で一番海に近い場所にあります。そのためか塩分が非常に多く含まれていて、入浴するとお湯が白く濁るほどだったそうです。

清左衛門の湯(せいざえもんのゆ)

1806年創業の老舗旅館「古屋旅館」の前に湧く「清左衛門の湯」。古屋旅館では、現在でもこの源泉からのお湯を使用しています。

清左衛門という農民が馬に乗って走っていた時、湯つぼに落ちて死んでしまったことから、「清左衛門の湯」と呼ばれるようになったそうです。この源泉には 「清左衛門の名前を呼ぶ声の大きさでお湯の湧き方が変わる」という、不思議な言い伝えがあります。

風呂の湯

昭和の湯治場風情を残す温泉宿として知られる「福島屋旅館」前にある「風呂の湯」。古くは、湯気が盛んに吹き出ていたため、酒を温めたり饅頭を蒸して販売していました。

湯には傷を癒す効果があったと言われています。「風呂の湯」のすぐ近くには、もう1つ温泉が湧いています。他の源泉よりも温度が低く、塩分が含まれていないため「淡白無味常水を温めるもの」という意味から「水の湯」と名付けられたそうです。泉質がまったく違う源泉が、すぐ隣から湧くというのも熱海の源泉の豊かさを感じるスポットです。

小沢の湯 (こさわのゆ)

沢口弥左衛門、藤井文次郎、米倉三左衛門の庭湯を「平左衛門の湯」と呼んだ源泉です。しかし、付近に住む村人はこの土地が小沢であることから「小沢の湯」と呼んでいました。

現在では「小沢の湯・平左衛門の湯」の併称になっています。現在でも噴き出している高温の蒸気を利用して、温泉卵を作ることができます。湯の蒸気の噴き出し口にザルが用意されている、ザルに生卵を入れて木蓋をして8分前後蒸せば完成です。酒屋で生卵が販売されているので、購入して試してみてください。

野中の湯

「野中の湯」は、熱海駅から隣の来宮駅へ続く県道脇にある源泉。かつてこの周辺一帯は、泥の中から温泉が噴いていて、杖でつくと湧き出したと言われています。

また、ここの土は赤土で、壁を塗るための材料として使われていました。湧出地が非常に浅かった「野中の湯」は、入浴用としてはあまり利用されなかったため、お湯をためる湯枡がなかったと言われています。

お散歩コースの最後に回り、パワースポットとして有名な「來宮神社」へ、七湯巡りの最後にお参りするのもおすすめです。

來宮神社(きのみやじんじゃ)

來宮神社は、古くから来宮大明神と称し、熱海郷の地主の神であって来宮の地に鎮座し、来福・縁起の神として古くから信仰されています。

平安初期の征夷大将軍坂上田村麻呂公は戦の勝利を神前で祈願し、各地に御分霊を祀ったとも伝えられ、現在では全国四十四社のキノミヤジンジャの総社として、信仰を集めております。
御祭神五十猛命は熱海に鎮座される際、地元民と入来たる旅人を守護しようと神託をつげられたことから、伊豆に来る旅行者が多く参拝されます。


 国指定天然記念物に選定されております来宮神社のご神木「大楠」は樹齢2千年を超え、平成4年度の環境省の調査で、全国2位の巨樹の認定を受けており、幹周り約24米の迫力に人々は畏怖し、自然と手を合わせます。是非大楠に手を合わせ悠久の時の流れを感じてください。


Translate »