719年、僧侶の行基がこの地で聖観音の仏像と数個の仮面を作って奉納したことが始まりと言われ、約1300年の歴史を持つ西浦田楽です。浜松市天竜区水窪町奥領家の観音堂で行われます。
五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈り、神事に参加する者は、祭主となる別当と舞を踊る能頭、能衆というそれぞれの役割を受け持つ。
役割は、代々長男が世襲制で継承し、厳しい戒律を守り続けている。別当は祭りの1カ月以上前から家族と火を別にした精進料理を食べ続け、能衆たちは1週間前から同様の生活を始める。
農作業の動作が登場する「地能」と仮面を着けた芸能的な「はね能」と神を山に戻す「しづめ」の舞を行う。舞の説明などは一切せずに中世を再現し、それぞれの舞を一晩中踊り続ける。
「地能」
地能の「庭ならし」から始まり「御子舞」「地固め」と続いていきます。
14番目の「麦つき」から26番目の「餅つき」までは,実際の農耕の様子をあらわす田遊び系の演目が続きます.
途中の22番目の「山家そおとめ」が終わると,「くらいれ」といって小1時間休憩になります.
「はね能」
はね能は「高砂」から「橋弁慶」まで11の演目がありますが,すべて面を付け,途中に謡が入ります. 能楽の要素が感じられて非常に興味深い演目です。
演目の順番は最初の「高砂」から「梅花」までは決まっていますが,それ以降は特に決まりがありません。
それぞれの演目は,最初笛・太鼓に合わせて舞い,途中で謡が入ります。この謡の時は笛も太鼓も入りません。
謡が終わる時,謡手の合図で笛・太鼓が再び奏され,それに合わせて再び舞が舞われ退場する。
「しずめ」
最後は「しずめ」です.「しずめ」はお招きした神様にお帰りいただく神事で,「獅子舞」から「みずのお」まで4つの演目がありますが,非常に厳粛な雰囲気の中で行われます.
月の光や風の音、土のにおい、太鼓や笛の音を体感し、中世の雰囲気を味わうのがお薦め。昔のままの形で淡々と行う祭りのため、事前に予備知識を身につけてくるとより楽しめる。